読んだきっかけ
第一に表紙のデザインが良かったこと、第二に猪熊さんの本だということ、第三に気象に関する固い説明を柔らかく表現されているんじゃないかと思ったこと。気象に関するの文言は目に見えないものが多く、具体的な事象と紐付くことが少ないので、なかなか頭に入らない。
読んでわかったこと、変わったこと
各章の章だても絵本みたいで可愛く、猪熊さんの専門的だが親しみやすい言葉遣い、そしてことわざを作った土地土地の人へのリスペクトが清々しい。それは地域でのことわざが、季節ごとの気圧配置、偏西風の動き、それらにより海や山によって生じる気象状況に沿って考えると理にかなっていることが多く、昔の人たちがいかに自然にたいする観察眼が優れていたかを、山男とて尊敬してやまない感が溢れてしまったんだろうと思います。
難しい説明に対して、ことわざの言う具体例が乗っかることで、わかりやすいと同時に気象を観察したり感じることが面白くなりました。
例えば、
- 「朝焼けは雨、夕焼けは晴れ」朝焼けは水蒸気に日が当たって輝いており、それによる雲が成長すると天気が悪化する。夕焼けは西の空が澄んでいることで空が焼けているように見えるもので、湿った空気や雲が発生していないことから明日は晴れになる。
- 「雷がなると梅雨明け」梅雨前線が太平洋高気圧の発達によって北上していくと梅雨明けとなり、代わりに地上が熱せられることにより大気が不安定となることが多くなり雷が発生することが多くなる。
- 「朝霧は晴れ」朝霧は、降った雨による水蒸気が、その日の夜に晴れて無風状態になると地面の熱が上空に逃げた結果、地面の上の空気が冷やされることで、水蒸気が水滴となることで発生する。夜に無風状態で冷やされたということは放射冷却があったということで、そのような雲がない日は晴れとなる。
他、季節感に関することわざ「暑さ寒さも彼岸まで」。彼岸とは春分と秋分の日を中日として前後3日ずつの期間。春分を堺に大雪になることは少なくなり、秋分を堺に真夏日はなくなる。
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